辺野古環境アセス評価書がものすごい


 辺野古環境アセス評価書に対する住民意見受付締め切りがもう本日(2月3日)になりましたが、アセス評価書を読んでいて予想以上のひどさにびっくりします。

 何しろ読む前は、「7千ページもある専門的な評価の結果なんて自分が読んでも意味分からないだろう」と思っていましたが、読んでみれば何のことはない、素人でもツッコミが入れられる箇所が満載でした。

 特に笑った箇所を一つあげてみましょう。

 アセス評価書では、辺野古に基地が出来た後、日々発生するであろう大量の汚水は汚水処理施設にて適切に処理し、環境基準を満たす形で海に放流することとしています。
 さて、このアセス評価書の前には「準備書」があり、その段階でも多くの一般からの意見が寄せられていました。本番である今回の「アセス評価書」ではそこで寄せられた意見(って言うか疑問or批判)に逐一応えていますが、その中の一つ*1

一般からの意見:

(前略)放水水質が環境基準を満たしているかを監視する方法についての記載がない。

 ごもっともです。いくら厳格な環境基準が設定されたところで、実際にそれが守られているか監視するシステムが無ければ、絵に描いた餅でしかありません。で、それに対する事業者(沖縄防衛局)の回答が振るっています。

事業者の回答:

 放流水の水質は、環境基準に適合しており、環境にはほとんど影響を与えることはないと考えております。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 すっげー、応答が見事にかみ合ってないのはもちろん、監視システムなんてなくても環境基準を設定すれば当然それは永続的に守られ続ける、とでも信じているようです。まるで法律作れば、警察や罰則が無くても犯罪が無くなるとでも思っているかのようですね。沖縄防衛局って性善説の信奉者だったのですね(棒)。って言うか、べつに故意に基準が無視されなくても、処理システムの不調や故障で、知らないうちに環境基準を超える汚水が海に流れ込むことはありうるでしょうに・・・・・・。

 と、ことほど左様にちょっと読んだだけでツッコミどころ満載。特に「準備書」に寄せられた意見とそれに対する事業者側の回答(要約書4章)はほとんどコントの域に達しています。


 まあ、そういうわけですので、標準的な国語読解力があれば、何かしらの意見を書くのはけっこう簡単なことだと思います。特に4章はページ自体は多いものの、書くべき意見が手軽に見つかりそうです。あなたが「おいおい、ちょっと・・・・・・」と思った箇所を素直に書けばいいかと。今日時間がある人は挑戦してみてください。なんでしたら上記のコント、もといやりとりをもう少し格式ばった文章に直して使用してもけっこうです。

*1:要約書『4章1/2』内「4-1-8」ページ

辺野古アセス評価の意見の出し方について

 もう時間が無いけれども、辺野古環境アセス評価書への意見の出し方について簡単にまとめておく。

 反対運動の粘り強い闘いもあって、沖縄県ではアセス評価書に対する意見を一般から募集している。一般からの意見は知事意見を作成する際に考慮されるという。

 意見の出し方は、審査会で直接述べるか、沖縄県環境政策課に手紙,FAX,メールなどで意見を送る、の2通りである。

 審査会での意見募集はすでに締め切られている。あとは、環境政策課宛に意見を送る方法が残っている。
 こちらの締め切りは2月3日必着。

 意見を出したい人は、まず沖縄防衛局HPに掲載されている「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書」を閲覧し、環境保全の観点から問題点を整理する。この掲載ページは沖縄防衛局HPの『調達部』のページに掲載されている。
その後、沖縄県環境政策課にある所定の様式に沿って意見を記入し、手紙・FAX・メール添付などの方法で送付する。ワード仕様の様式もあるので、パソコン上での意見を書き込み、メールに添付するのが早いだろう。

http://www3.pref.okinawa.lg.jp/site/view/contview.jsp?cateid=68&id=26196&page=1(所定様式および送付先が掲載)

 ちなみにすでに募集を締め切った審査会では以下のような意見が寄せられたという。

http://www.okinawatimes.co.jp/article/2012-01-31_29247

 言いたいことはあるがどう書けばいいのかわからない人には参考になるだろう。すでに既出の意見を改めて書いてもいいし、まだ出てない問題点を書くという手もある。

環境評価書、いまだ守衛室から動かず。しかし県は受理の方針?


 昨日、沖縄防衛局が環境評価書入りのダンボールを沖縄県庁に投機し、県当局もこのダンボール置き去りを「提出」と見なし、受理の方針を防衛庁に伝えた、と書きました。

 しかし、現場で阻止行動をしている人のブログによれば、なんとこの環境評価書は28日の段階でいまだ守衛室から動いておらず、県当局は中身の確認をしていないとのことです。(以下、引用中の太字はブログ主による)

県にこれを受理しないよう求めて、1階の守衛室周辺や4階の環境生活部、6階の知事室前で座り込み行動が行われた。県当局は段ボール箱の中身を確認し、守衛室から持ち出そうとした。しかし、多くの市民が廊下に座り込んで抗議の意思を示し、国会議員が段ボール箱を監視したことによって、中身を確認することすらできなかった。
 座り込みの合間には、県議会議員や国会議員により、県当局との交渉の状況が伝えられた。早朝から午後5時前まで長時間の座り込み・抗議行動が行われた。守衛室に持ち込まれた段ボール箱は開けて中身を確認することができず、県の担当部局と沖縄防衛局との間でも、環境アセス条例に照らし合わせて必要部数を満たしていないことや書類上の不備が確認されたという。提出時間、手法の異常さを考えても、本来は再提出を求めるべきにもかかわらず、事後的に対処することで、県当局は庁舎内に持ち込まれたことをもって受理する意向を示した。その報告に、抗議と怒りの声が廊下に満ちあれた。(http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/6d3012175051637f4b11f11d983e9dc3

 詳細な時間は書かれていないものの、少なくとも28日午後5時の段階で環境評価書が入ったダンボールは県庁の守衛室に置かれたままで、県当局は中身を確認できていない、と読み取れます。
 しかし、県当局が防衛庁に受理の方針を伝えた、との報道が沖縄タイムスによってなされたのは28日の午後7時。この2時間の間に何か進展があったのかもしれませんが、その可能性は低いでしょう。ちなみにこれは私の記憶に基づきますが、中国新聞は共同の配信により午後4時前後に県が受理の方針を決定したとの第一報を伝えています(http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201112280152.html)。
 県の方針が確定した時間を沖縄タイムスの報道より少し前の時間と推定しても、県当局は評価書の入ったダンボールの中身の確認もしないまま受理の方針を決定した、ということになります。

 仲井真知事は市民の前に出てきて「県内移設にあくまで反対する」といった宣言を行いましたが、このような沖縄防衛局の既成事実作りを追随したに留まらず、確認してもいない環境評価書を早々に「受理する」などと防衛庁に伝達するなど、明確に国と防衛庁の側に立っているとしか思えない行動をしているわけです。
 このような県当局と知事の二枚舌的な行為がはっきりした今、引き続き県に環境評価書を受理しないよう求めていくのと同時に、県と知事のこのような対応を批判していかなければならないでしょう。


 以前も書きましたが、この騒動で注目すべきなのは、沖縄防衛局のなりふりかまわぬ態度です。沖縄防衛局、国はこれまでたとえ口先だけでも「よく県民に説明し理解してもらう」という姿勢だけは取ろうとしていたわけです。誰も信じてませんでしたが、少なくとも(沖縄以外の)日本国内向けにはある程度有効な姿勢だったのかもしれません。
 しかし、今回はその仮面を完全に投げ捨て、説明にも来ないで一方的に郵送しようとしただけでなく、それを阻まれるとあのような暴挙に出たわけです。つまり、もはや国も防衛局も強引にでも既成事実を積み上げていってしまえ、という方針になったと言ってもいいでしょう。
 であれば、県当局が今回この防衛局・国の方針に追随し、なし崩し的に受理を行ってしまえば、以後も沖縄防衛局・国は同様の手段を取り、しかもそれをエスカレートさせていくことでしょう。暴挙に対して一度譲ってしまえば、後々取り返しのつかないことになるものです。

 なお報道によると沖縄防衛局がこうも強行手段に出たのは対米公約を果たすためらしいです。

虚を突く搬入に反発した県内移設に反対する県民が県庁に押し寄せ、提出を阻んで座り込みを続けたが、県は受理する方針を決めて防衛省に伝達した。対米公約化していた年内提出は県の仕事納め当日にぎりぎり果たされた。(http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-185717-storytopic-3.html

 なんだかこれを見ると沖縄防衛局と県当局の息はぴったり合っているようにしか見えませんが・・・・・・まあ、そうなんでしょうね。


 そもそも今回沖縄防衛局は16箱のダンボールを搬入したものこれが全てではありません。まだ数箱分の環境評価書が未提出のままであるそうです。(引用中の太字はブログ主による)

防衛局が正式な受理要件を満たすためには、未提出の部数を届けることが必要なため、市民たちから「これ以上は、絶対に持ち込ませない」と息巻く声が上がった。(http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-12-29_27932/

 と、この通りであれば、県側がすでに「提出」された中身を確認していないだけでなく、沖縄防衛局側もいまだ受理要件を満たしてはいません。「沖縄防衛局が評価書を搬入」「県が受理の方針」という報道が成されているため、もはやこの段階での抗議は終わったと私も思いそうになっていましたが、まだ「提出」を巡る段階も終わりではありません。
 なのでまだ間に合います。引き続きこのような点にも言及しながら、受理の方針を翻すよう県に求めていきたいと思います。よろしければ、これを見ている人もご協力ください。意見の送り先は沖縄県の公式HPでわかります。


 なお、沖縄防衛局の「提出」については、「未明の搬入」という行為自体に留まらず、「提出」そのものに県議会長や県出身の国会議員が超党派で抗議を行っています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-12-28/2011122815_03_1.html沖縄県議会議長が緊急抗議声明)
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-12-29_27939/(県関係国会議員「無効」と緊急声明)


 最後に、ダンボールの移動と防衛局の新たな投機を阻止すべく現場でなおがんばっている人々に対し、陰ながら応援の声を送りたいと思います。

沖縄防衛局、未明にダンボール十数個を県庁に投機

 28日未明(4時頃)、沖縄防衛局が十数個のダンボールを沖縄県庁の守衛室に運び込み置き去りにしていく、ってな珍事が発生しました。中身は「アセス評価書」7000ページだそうです。

分乗していた職員約20人がそれぞれ段ボール箱を一つずつ抱え、夜間の通用口から16箱を警備員が1人だけいた守衛室に次々と運び込んだ。
 同日午前1時から現場で警戒していた市民団体のメンバー1人が激しく抗議し、報道陣が一連の行動を取材する中、評価書を入れた数個の段ボール箱を車両に持ち帰った。真部局長が乗った車両を含め3台は到着後約5分で現場を去った。
(略)
 防衛局側が立ち去った後、県の上原徹管財課長ら職員数人が現場に到着。上原課長は押印など所定の手続きがないため「文書の受け取りは完結していない」と話した。(http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-185687-storytopic-53.html[辺野古アセス評価書、未明に搬入 県「手続き完了していない」])

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-185702-storytopic-53.html(動画)


 県側には一切事前連絡は無かったそうで、この未明の有無を言わせぬ襲来はこの前の「犯す前に言いますか」発言と絡めると、あれは比喩でも何でもなかったんだな、とわかって味わい深いですねぇ。
 って言うか、ビラ配りで不法侵入となるこの国でこの行為は不法侵入に当たらないんですかね。何の連絡もなく未明に大量のダンボールを抱えて守衛室に押しかける行為って沖縄防衛局の大好きなアメリカだったら発砲されるレベルじゃないかと思います。良かったね、沖縄が日本に復帰していて。


 この受け取りに県側の立会いはなく、受け取りに関する正規の手続きは行われていないことになります。
 こちらのブログでは、その点より県は受理をするべきではない、と主張しています。

アセス評価書は宛名などもなかったというから、まず基本的なところで不備だ。双方の形式的確認もしていないので、手続きとして不備だ。受け取りの際に県側は確認していないので、受け取りにはならない。警備員には受取る権限は付託されていないだろう。つまり、沖縄防衛局はアセス評価書をまだ提出していない。そのため、手続き上の日数のカウントは、まだ始まっていないといことになる。
 県としては提出の手続きは終っていませんよ、と国に報告して静観した方がいい。県の今の副知事の一人は弁護士であり、専門家だ。当然、分っているからそうするだろう。 (http://kaihousyoukoku.asablo.jp/blog/2011/12/27/6266350


 私もまったく同感で、県はこのような不正規な方法で押し付けていったものを受理する必要はない。かつての琉球国であればそのようにあらゆる論法を駆使して抵抗したことでしょう。第一このような前例を認めては、国側にごり押しした者勝ちだとのメッセージを送ったも同然だと思う。


 また、こちらのブログではアセス自体がすでに違法と主張しています。

○「方法書」以前に事前調査を行い、それを「方法書」に基づき行うべき現地調査の成果として組み込み、欠陥だらけの「方法書」と「準備書」を通過させる、と方法は、真っ向からの環境アセスメント法違反である。
○「方法書」から、追加修正、「準備書」と進むに従い、環境影響評価そのものに関わる内容が追加されてきた(後出しジャンケン)。たとえば、オスプレイ配備、洗機場、ヘリパッド、弾薬搭載エリア、燃料桟橋である。また、埋立の砂をどこから持ってくるかの問題もある。このような場合、「方法書」の作成にたち戻らなければならない。

従って、今回の郵送による評価書提出に関して、沖縄県知事が「法令や条例に基づいてやるのだから、出すなというわけにはいかない」と発言しているのは、「提出」という一点だけをとってみればその通りだが、アセス全体がもはや法律違反になっているいま、態度保留の弁と受け取られても仕方がないかもしれない。(http://pub.ne.jp/Sightsong/?entry_id=4072363

 というわけで、今回は沖縄防衛局の(いつもの)暴挙、まさしく「犯す前に言わない」的な行為について抗議し、沖縄県側にこのような不法投棄にも等しいものを受理しないよう要望してほしい、とこの記事で訴えようと思ったのですが、なんと知事らはあっさり受理の方向で進めるとの報道がありました。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-185715-storytopic-53.html沖縄県、アセス受理の方針 防衛省に伝達 普天間移設問題)


 まったくなんともはやです。ただ、この件に関してまだ方針の段階ですので、引き続き沖縄県にそのような方針を決めたことへの抗議および撤回を求めて意見を出していこうと思いますし、また皆さんへご協力をお願いしていきたいと思います。

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底抜け沖縄防衛局と高江ヘリパッドまとめの再掲


 毎度毎度空気の驚くほど読めない発言や奇行(10歳児を訴えるとか)で沖縄県民の驚かせ飽きさせない沖縄防衛局ですが、今回はまたどえらい花火を打ち上げて散ってくれましたね。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-184598-storytopic-3.html(「犯す前に言うか」田中防衛局長 辺野古評価書提出めぐり)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201111%2F2011112900471&g=pol(田中沖縄防衛局長の発言要旨)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-184627-storytopic-244.html(【電子号外】田中防衛局長 更迭へ 不適切発言で処分)


 ブコメなどを見るとあんまりにもあんまりな発言に驚いたり呆然としている人が多いようで、私もさすがに唖然となりましたがでも一方で、まあ沖縄防衛局の局長だもんなぁ〜、と妙に納得してしまったり。

 でも今日はもっと驚くことがあったんです・・・・・・来たんですよ。
 何がって?

 沖縄防衛局の局員が高江に工事にやってきたんです!!!  

 いや、もうこれには局長の発言以上にびっくりびっくり。
 だって今あなたたちのトップ国会でまで大問題になっているよ!? こういう時のお役所さんってなるべくおとなしくしているもんじゃないの!!・・・・・・と思わずつっこみたくなる。
 
 でもまだまだ驚くことはある。
 一部情報によれば明日も来るそうだ、しかも大人数で

 ・・・・・・ふう、私はまだまだ沖縄防衛局のななめ上なアクティヴさをなめていたようだ(汗)。局長が更迭されてもどこ吹く風で米軍へのご奉仕がんばっちゃうのね。・・・・・・ああ、彼らの真のトップは防衛局長じゃなくて米軍だったからかな?(http://d.hatena.ne.jp/poppen38/20110215/1297768911

抗議する住民、支援者に対し、米軍のMPを呼ぶぞ、と沖縄防衛局が圧力をかけてきた。ああ、いいぞ、呼べ、と言われて実際に米軍に電話をかけたらしいが、やってきたのはMP(憲兵)ではなく、演習場の環境整備をする係らしき人物だった。簡単にN1入口周辺を見て帰っていったが、それにしても、アメリカさんの後ろに従う沖縄防衛局員の姿の情けなさよ…。(http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/2ba7b1e493de6bde18e42d0aed4687a5

というわけで、明日は沖縄防衛局が大目の人数で高江に押し寄せるようです。全国の皆様、ご支援お願いします。


 それと、高江の状況を了解してもらうため以下に以前書いた高江問題まとめの記事を這っておきます。よく高江のことがわからない方は参考にしてください。
 最新の情報は↓

http://takae.ti-da.net/

『・場所

 高江は沖縄本島北部にある東村にある地域で「高江区」と呼ばれます。

 東村は辺野古のある名護市よりさらに北にあり、その広大な東村の北の端にある高江へは県の中心地・那覇市からでは高速道路を使っても片道2時間以上かかり、バスは早朝と夕方に計3本あるだけで、自家用車を使わなければほぼ訪れることは不可能です(これが抗議活動をより困難にしています)。

 高江区の人口は約160人。しかし人口の割りに子供の数は多い。主に農業が行われています。

 周辺はヤンバルの豊かな森に囲まれています。森の中にはノグチゲラヤンバルクイナ,ヤマガメなどの天然記念物や固有種も多く、本来で生物多様性を守る立場から適切な自然保護が行われなければならない場所と言えるでしょう。

 また周辺に沖縄県民の水道水を支える3つのダムがあり、沖縄本島の水がめともなっている地域です。


・米軍基地 

 しかし同時にここは米軍の北部訓練場と隣接する地域でもあります。北部訓練場とは、米軍がジャングルでの戦闘・サバイバルを訓練するための施設です。

 現在でも東村の村内にある北部訓練場の敷地内には施設の一種として15箇所のヘリパッド(ヘリコプター離着陸帯)があり、住民は爆音や事故の危険と隣り合わせの生活を強いられています。


・新ヘリパッドの建設とその経緯。

 今回、問題となっているのはすでに15箇所のヘリパッドを持つ東村に新たに6箇所のヘリパッドが建設されることです。この6箇所のヘリパッドが建設されますと、ちょうど高江区がヘリパッドに包囲されるような形になってしまうので、住民は大いに不安になり、反対しているのです。

参考:http://helipad-verybad.org/modules/d3blog/details.php?bid=38

 高江に新たにヘリパッドが作られることになったのは、1996年のSACO合意に基づきます。SACO合意では、普天間基地を返還する変わりに本島北部に代替施設を作ることが日米両政府で「合意」され、今の辺野古「移設」問題につながっています。この普天間関係の他に重要な「合意」として、北部訓練場の半分(本島最北端の国頭村の部分)を返還する代わりに、返還地域内にあるヘリパッドを高江に移設することが決められました。

 これが今の高江ヘリパッド問題の発端です。


沖縄県・東村・高江区の反応 

  残念ながら沖縄県も東村も現状では「ヘリパッドの移設も止む無し」という立場です。しかし、高江区は小規模集落であるため、東村の議会に村議を送ることもできず、意見を表明する場もありませんでした。

 そこで高江区は区民総会で二度に渡り、全会一致で移設反対決議をあげました。また、沖縄防衛局が高江区への移設を決めた2006年ごろより反対運動も本格化し、工事車両の出入り口となり移設場所へ続く2つの北部訓練場ゲート前に監視テントを立てるなどしました。

 
・防衛局が高江住民を提訴 

 2008年11月、防衛局は「座り込みが工事を妨害している」と言って那覇地裁に「通行妨害禁止仮処分命令」を申し立て、高江住民15人を訴えました。この中には現場にいなかった8歳の子どもまで入っていました(後にこの子どもに対しては訴えを取り下げ)。

 最終的に14人が訴えられましたが、そのうち12人に関しては裁判所は防衛局の訴えを全面的に却下。しかし「住民の会」共同代表の2人に対しては、「妨害行為があった」と認定し、通行妨害禁止の仮処分を認めました。これは現在係争中です。

 一方、裁判所は座り込みという抗議のあり方を認め、「住民と防衛局側は話しあうべき」と双方に諭しました。しかし、防衛局側は話し合いには応じず、裁判係争中であるにも関わらず、工事を強行しました。


・米軍ヘリによる監視テント倒壊事件 

 昨年末、ゲート前(当然民間地域)にあった監視テントが、超低空飛行による風圧で破壊され、泊まっていた支援者一人があやうく怪我をしそうになった事件も起きました。この件について、住民らは沖縄防衛局に米軍に問い合わせて真相究明をするよう求めましたが、まだ何も解決していません。


・米軍の思惑・北部の軍事要塞化 

 高江へのヘリパッド建設を求める米軍の思惑ですが、以下のようなことが言われています。

 米軍はヘリパッド移設とともに上陸訓練のための水域と土地も求めており、特に高江近辺を流れる宇嘉川流域と河口が狙われています。ここを高江のヘリパッドと併せて使用することで、米軍は辺野古へのアクセスが格段に便利になります。

 つまり「辺野古新基地」「辺野古弾薬庫」「高江ヘリパッド」「(返還しない)北部訓練場」「宇嘉川流域の上陸訓練場」そして金武町の「キャンプハンセン・都市型訓練施設」など一連の米軍施設が有機的に結合することになり、本島北部の軍事要塞化とも言うべき状態になります。


オスプレイの配備 

 さらに事態を由々しくしているのは、高江のヘリパッドにオスプレイが配備されるのではないかという疑惑です。

 オスプレイは積載能力と飛行距離に優れていますが、今まで多数の事故を起こし「空飛ぶ棺桶」とも言われるほどで、米国でもすでに製造も禁止されています。しかし、日米政府は既存のオスプレイ辺野古および高江で使用することを狙っていると言われています。はっきりと明言はしていませんが、辺野古や高江の施設の様子からオスプレイ向きの施設であると言われています。

 オスプレイの配備によって米軍の軍事力・基地機能が強化されるだけでなく、高江の集落から400メートルしか離れていないヘリッパドにそのような欠陥ヘリが離着陸することも高江住民の恐怖となっています。


・反対の論点 

 なぜ高江ヘリパッドに反対しなければならないのか? その理由は人それぞれでありますが、およそ以下のような点にまとめることができるでしょう。

 どれが他の反対理由より優先され正しいか、という話ではなく、一人一人がそれぞれの問題意識に基づいて考えることだと思います。どれか一つだけの理由でもいいし、これらはすべて相互につながっていると考えても良いでしょう。

1.ヘリパッドによる集落包囲・オスプレイの配備などによって高江住民の生活・生命が脅かされる。

2、「沖縄の負担軽減」の美名のもと、北部の軍事要塞化が進み、実際には基地機能の強化・固定化ということになる。

3、沖縄の基地が強化・固定化されることにより、東アジアの軍事的緊張感が高まる、およびベトナム戦争イラク戦争の時のように米軍の出撃基地の島としてその加害行為に加担することになる。

4、注目されていない高江にまず手をつけることによって、膠着状態に陥っている辺野古「移設」へのきっかけ・はずみがつけられる。

5、天然記念物や固有種も多いヤンバルの豊かな自然が破壊され、種の絶滅など生物多様性が損なわれる。

6、沖縄の水がめである地域が汚染される危険(=沖縄本島全体に健康被害が出る)がある。

 まだ見落としている論点があるかもしれませんが、こんな感じでしょう。

(中略)

 住民らは現地に来られない人々に、沖縄防衛局・防衛省などへの抗議。議員へ工事中止の要請。各種メディアに高江の惨状を取り上げてくれるよう要請してくれることを求めています。(http://d.hatena.ne.jp/poppen38/20110220/1298229644

 

『南極大陸』夢と発展と無残な結果


 実は私、南極って大好きなんですよ。ついでに言うと、北極も好きですし沙漠も好きです。沙漠だったらやっぱりアラビア半島南部のルブアルハーリー(空白の四角地帯)が最高ですかね。とにかく極地好きなんです。いや、「極地モノ」が大好きなんです、実際に行きたいとは思いません。

 そういうわけで「南極」と名のつく作品はわざわざ映画館で見ることも多い。アメリカ版「南極物語」や題名忘れたけど南極舞台にしたドキュメントリー映画やうっかり極地探検モノだと思っていた韓国映画が実はホラー映画でホラーだめだから上映中ずっと目つぶっていた「南極日記」とか・・・・・・。
 肝心の「南極物語」は実は映画よりもそれを元にした漫画の方が印象深い。小学校の頃、ボロボロになるまで何十回も読んだ。プロジェクトXの第一次南極越冬隊の回もばっちりチェックした。

 で、普段あまりTVドラマ見ないんだけど、「南極大陸」だけは楽しみに見ている・・・・・・ええ、ロケ地が南極じゃなくて北海道だということはわかっているんですけどね。
 視聴率の問題でキムタクが叩かれているが、私が見た感じ彼の演技は特別良いというわけではないけど、そこまで悪いということはないと思う。むしろ問題はシナリオにあると思う。今回も犬たち南極置き去りで(言っては悪いが)見せ場の回だというのにどうも構成がいまいち。最後にリキの首輪が抜けたシーンは最高だったけどね。


 さて、ここからが本題。
 今回でとうとう15匹の犬たちが南極に置き去りにされてしまったわけだけど・・・・・・あの犬たちを置き去りにした「もの」とはなんであったか考えてみたい。
 最初に言っておくと、私は史実の第一次越冬隊員を非難する気は毛頭ない。犬たちを置き去りにしたのは第二次越冬隊が基地に辿りつけないというのが想定外だったわけだし、その後も天候&燃料の問題でどうしても救助にいけなかったというのは少し調べればわかることである。
 「南極大陸」7話でもキムタク演じる主役の倉持ら越冬隊員の悲痛さと鎖に繋がれたまま置き去りにされる犬たちの悲哀があいまって視聴者を号泣させる。私も見る前から泣いてたよ!

 しかし、(映画の方はもう記憶がおぼろげなので触れないが)この「南極大陸」を最初から見ていて思ったことがある。犬たちが置き去りになったのは直接的には南極と言う未知の世界の自然の驚異ゆえと言えるが、現代の視点から見れば別の見方も可能だろう。


 「南極大陸」では南極観測に行くことは「日本の夢であり希望」なのだと語られていた。それは敗戦で意気消沈していた日本国民を「元気づける」物語でもあった(ちなみにそれは不況や地震などで不安と閉塞状況に陥っている現在の日本国民を励ます、というメタメッセージでもあったと見ていいだろう)。
 主人公らは国際会議の場や観測場所の割り当てで敗戦国として屈辱的な扱いを受けたおかげでかえって「日本だってやれる」と奮起する、南極観測には「自立した日本を世界に示す」という目的が付加されている。さらに反対を押し切って「ここで越冬しなかったら日本はまた世界に遅れをとる」と越冬を断行しようとするのである。
 ここで「日本を見下す諸外国」や「頭の固い官僚」らが南極観測事業の障害として立ちはだかるが、「国民の熱狂的な応援」というものを得て南極観測が実現する。日本を離れる1話のラストで多くの国民の歓呼と日の丸に送られて出発する隊員たちは敬礼でもって彼らに応える。


 「南極大陸」でさかんに語られる国民の日本国の「夢」「希望」・・・・・・おそらくそれは当時実際にそんな雰囲気だったのだろう、と思う。確かプロジェクトXでも南極観測に国民が「夢や希望」を託したことや敗戦国として諸外国に見下される悔しさが語らえていた。
 そこで語られる「夢や希望」とはつまり「復興」「自立」「発展」だと言ってよいだろう。具体的には「敗戦で負った傷やコンプレックスを払拭して自立した国→一等国になりたい」という日本人の願いであったと言っていい。だからこそ主人公らはあんなにも諸外国から遅れを取ることを恐れ、南極観測や越冬を断行したのである。
 
 そして確かにこの時代以降、日本は急速に発展し経済大国へと成長していくのである。「南極大陸」における南極観測とは日本人の「発展したい、侮られたくない、元気になりたい」という願いが具現化したものであるのと同時に、これから日本が急速に復興・成長していくことの象徴でもあった、と見てもいいだろ。
 ・・・・・・そしてそんな願いの果てに、犬たちを置き去りにする、という事態が起きたのである。


 南極観測を「日本人の夢と希望」が託されたもの、「復興・成長」の始まりの象徴だと見ると、その結果犬たちを置き去りにしたことはなかなか示唆に富んでいる。
 すなわち日本は高度成長と経済大国の道を歩む中で自然を破壊し公害問題を引き起こし、また多くの国民が会社の歯車と化していった。それは経済成長の中で多くの国民が何らかの形で犠牲となった、ということであり、とりわけ弱い立場の者たちが多く犠牲になった。ここでも成長の陰で弱者が犠牲になるという構図は、人間に従って犠牲となる犬たちの姿と重なる。福島の原発の問題も沖縄の基地の問題も日本全体の経済大国化や「安全」のため一部地域が犠牲にされてきたという側面がある(沖縄の基地問題に関していえば、日本は防衛を米軍に肩代わりさせることで経済発展に集中できたという見方があり、その結果沖縄は基地の島として米軍に差し出され続けた。この最初の南極観測の時代、まだ沖縄は日本ではなかったこともいろいろ示唆的だ)。
 いわば南極に取り残された犬たちは、これからの経済成長の中で犠牲になる者たちの先駆的存在であった、と考えることもできる。私たちは置き去りにされる彼らの姿に、日本の「夢と希望=復興・成長・一等国化」とはなんであったかを見るべきだったのかもしれない。


 もちろんこのような考え方は後智恵ではある。
 しかし2011年のドラマなのだし、歴史を多面的または批判的に見直す試みをしてもいいのではないかと思う。
 しかし現在のところそのような試みは見られない。犬たちを置き去りにせざるを得なかった「悲劇の物語」と日本の夢が託された南極観測およびそれにかけた男たちの情熱(大国化への欲望)という「希望の物語」は現段階ではリンクしているようには思えない。むしろ後者はあくまで「希望の物語」としてラストまで無傷のままで流れていきそうな気配である。

 犬たちを置き去りにしたことで第一次越冬隊員は国民の轟々たる非難にさらされる。ドラマの作りとしては、越冬隊員たちこそが一番つらいのに無理解な国民の非難にさらされて可哀そう、という展開になりそうな気配だ。
 しかし、その国民たちもそのような事態が起きるまで南極観測と越冬隊員に夢を託し、日の丸を振って熱狂的に送り出した(出征兵士を送るみたいに)のではなかったのか? 「隊員の苦悩を察しない無理解な国民」という図だけでなく、「自らの責任にさえ無自覚で一方的に越冬隊員を非難する国民」という視点も導入すれば話はより深くなっただろう。

 もちろん「発展の夢を見た」→「犬たちが犠牲になった」とあまりに因果関係をはっきりしすぎるのはドラマとしてよくない。それどころかそういう描き方もまた歴史の単純化であろう。そうではなくて、二つの物語をさりげなくリンクさせながら、視聴者に「南極観測の夢が結果として何を引き起こしたか」さらには「日本の成長の陰で何を犠牲にしてきたか」をさりげなく思い起こさせるような処理をしていればすばらしいと思う。

 また、結果的に犬たちを犠牲にしたからといって「復興・成長・大国化」を単純な「悪」として描くことも賛成しない。そうではなくてあの時主人公や国民が南極観測に託した「夢と希望」それ自体はまぎれもなく「良きものであった」、それでもなおあのような悲劇が引き起こされた、と描く方が歴史に多面性とか「業」のようなものが表現できたと思う。
 そのように希望が絶望を引き起こすことがありうるこそ、逆に絶望が希望に転化する可能性も生まれるのではないだろうか。

 なんにしろ7話の段階で「犬たちの悲劇の物語」と日本の夢が託された男たちの「希望の物語」はまったく別個の物語とした語られている。今後、その二つの相反する物語がリンクし日本現代史を批判的に見直すような深いドラマとなるか、それとも「人間と犬の感動の物語」に始終するか・・・・・・後者の方になりそうな気配濃厚だけど。
 だが私の中ではもう置き去りにされた犬たちは、今後の経済成長の中で多くの人々が「置き去り」にされることを暗示する存在に見えてしかたないのである。

沖縄・高江でヘリパッド建設工事が再開!!


 緊急事態です
 15日より沖縄防衛局と建設業者が沖縄県東村高江に現れ、ヘリッパド建設を再開しようとしています
 今度は今年2月には無かったショベルカーまで運んできて本格的な作業に入ろうとしているようです。
 高江ヘリパッドの工事は辺野古海上基地とは違い、工事工程はさほど難しくはありません。おそらう重機が建設予定地に入れば、1週間(早ければ2,3日ほどで)とかからないうちに完成してしまうでしょう。
 どうぞ全国の皆さんにお願いです。高江現地に行ける人は行って座り込みに参加し、行けない人は防衛庁や日本政府に対し抗議の声を上げてください。どうか高江を助けてください!!

現地の様子
http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/84cc55bbf927f0ca47b63be3b2f61c71
http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/60476352d08349924b827bdf1671b03e
http://takae.ti-da.net/


 正直言って、今とても悔しい気持ちでいっぱいです。
 高江は中南部から遠く交通も不便で北部以外の沖縄県民にとっても駆けつけにくい場所。それでなくても座り込みによる工事阻止は長期戦になればなるほど抗議側に不利です。沖縄防衛局は予算(うちらの税金!)を湯水のように使って宿泊や移動何より人的ソースなど有利な条件を確保しているのに、抗議側は自分のお金で(老人たちは年金を切り崩して)自家用車で(車が無い場合は乗せてもらって)現地に泊まりこんで座り込み抗議をしています。
 工事が強行されようとする時、現地で座り込んで抗議することは確かに有効ですが、なぜまたしても今年2月と同じ状況になってしまったのか。なぜ「沖縄にこれ以上米軍施設はいらない」という当たり前の世論が形成されないのか・・・・・・。

 ともかく絶対に辺野古にも高江にも新しい基地を作ることは許せません。どうぞ助けてください。