墜落による被害(2)


 民間における被害は、建物などへの物的被害と精神的被害が主である。このうち、物的被害についてまとめてみた。

 日本政府が被害を認め、損害賠償を支払った被害は77件である。
 すなわち沖国大関連で22件、周辺民家29件、車両22件*1、電話・電力線2件、精神的2件で賠償金の総額は二億五千九百万円となる*2

 被害の原因を分けると

(1)事故機体の接触と火災・爆発そのものによるもの→ヘリがぶつかった本館の被害はほとんどこれ

(2)事故機が墜落までに脱落させた部品やオイルによるもの→広範囲に見られるが被害は少ない

(3)事故機が本館と接触あるいは爆発した際に飛散した部品・本館の壁によるもの→沖国大正面の住宅地に集中。建物への被害が多く、窓やドアを破って建物内にまで部品によって被害を出た。



 沖国大の被害については、先に紹介した同大学の特設HPの写真がわかりやすいが、一応まとめておく。


……事故の翌日にブログ主が撮った写真だが……ひでぇなこの写真。

 三階から一階にかけて袈裟懸けのように無残な黒い焦げ後が走っている。ヘリが炎上した際にできたものだろう。

 また切り込みのようについている何本かの横線は、ヘリのメイン・ローター(プロペラ)が回転しながら壁に接触した際についたものである。

 屋上の端もプロペラの接触により削り取られ、鉄筋がむき出しになった。

 黒焦げの壁の裏には非常階段があるが、ここも焼け焦げ、2階の踊り場が崩壊した。

 写真の右端に見える銀色の塊が事故機の残骸であるが、その周辺を中心に木々が焼けてしまっている。


 機体は一階事務局の窓のすぐ側に転がった。墜落の衝撃と爆発で窓ガラスが割れて窓際の席に降り注ぎ、ブラインドも吹き飛んだ。最も被害が大きかった窓際の席の主はたまたま出張中であったため難を逃れている。

 さらに割れた窓からは炎が入り込み、天井の壁を焦がした。

 窓を割ったのは衝撃だけではない。機体からはずれた大きな部品が窓を割って室内に飛び込み、あやうく職員の一人は直撃されそうになったが、寸前で柱にぶつかって助かった。


 被害は3階内部にも及ぶ。
 学長室のすぐ隣にある非常階段へ続く扉は閉められていたにも関わらず炎が吹き込んだらしく、ドアの内側と天井が焼け焦げていた。ドア自体は衝撃で歪み、開閉できなくなっていた。学長自身は事故のほんの少し前に用事で別の館に出向いていたので無事だった。

 また3階の別の一室は窓はどこも割れていなかったにも関わらず、激突の際の衝撃で内部の壁が大きく崩れて鉄筋がむき出しになっていた。

 他にも火災による灰が職員駐車場に降り注いだり、学内のインターネットケーブルが切断されるなどの被害が出た。

*1:そのうち13件が墜落現場の正面にあった中古車販売店の商品。オイルや灰をかぶるなどして商品価値がなくなったため

*2:賠償金の日本政府と米軍の負担の割合は不明だが、公務中の米軍による事故の被害者への賠償金の負担割合を定めた日米地位協定通りに支払いを行ったとすると、うち75%の1億9千万円ほどを日本政府が税金から支払ったことになる