11月読了記録
知事選挙も終わりましたので、バナーはずしました。
- 作者: 浦島悦子
- 出版社/メーカー: インパクト出版会
- 発売日: 2005/12
- メディア: 単行本
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彼女は、焼け跡以外に何もなかった戦後、海のおかげで子どもたちを育てることができたと言う。「海は命の恩人。基地に売ったらバチが当たる」というのが、彼女をはじめ辺野古のおばぁたちの口癖だ。
あのとき、事業者である那覇防衛施設局の悪名を馳せた「ユイマール作戦」(施設局員二〇〇名を動員した戸別訪問)をはじめ、国家権力をフルに使った前代未聞の硬軟さまざまな圧力もはねのけて、市民の過半数の反対の意思を明確に示したのだ。まして、その後、(名護市民が拒否した)当初計画の二倍以上の規模になった軍民共有空港については、地域住民・市民は一度たりとも意思を問われたことはなく、私たち地元住民の説明要求はことごとく足蹴にされてきた。
カヌーによる攻防から足場の上へと、たたかいの舞台は移った。ジャングルジムのように組まれた単管足場(やぐら)の鉄パイプに座って一日を過ごすのは、カヌーで調査船や警戒船と攻防を行うよりははるかにラクだが、動かない分、寒さが身にしみる。気を付けなければ帽子や手袋、弁当の蓋などあらゆるものが飛んでしまう強い風が吹き、足場に波が叩きつける。守っている足場を施設局側の船数隻に取り囲まれて脅されると、慣れない人は震え上がってしまう。
※施設局は基地を作るためのアセスメントのため、辺野古海上に作業用足場(単管やぐら)を設置したが、反対派はこのやぐらの上で1年間に渡って「海上座り込み」を行い、施設局の計画を頓挫させた。
この日の海保はひどかった。「危険行為のおそれがある」とかでグリーンピースをふくむ阻止船を予防拘束し、ロープでくくりつけてしまったという。その際に海保の船に乗り上げられてこちらの船が傷ついたり、三〇メートル下の海底に船のエンジンを落とされたり、ロープを巻き上げるウィンチがもげてしまったり、被害が多発。また、こちらの船に乗り込んできた海保職員に羽交い絞めにされたり、殴られて痣ができるなどの人身被害もあった。無線で伝えられてくる状況のあまりのひどさに、陸上にいた海保職員にテント村の責任者らが強く抗議して、しばらくののち拘束は解かれたけれど。
双眼鏡で覗いていても、警戒船、海保の船、こちらの阻止船と三〇隻以上が入り乱れているので何がなんだかわからない。無線から、「台線から本部へ」という声が聞こえた。聞き違いかと思ったが、何度も繰り返される。何度目かにやっと、こちらのメンバーがスパット台船の上から発信しているのだということが呑み込めた。「エッー台船を占拠したの? すごーい!!」。若者たちを中心とする「飛び込み隊」の九人が台船の上に乗っているという。
あとで報告を受けたところによると、海保に拘束された船から海に飛び込んで、高波の中を泳ぎ、必死で足場にしがみついて作業を止めたとのこと。
※スパット台船。アセスメント作業の足場となる船。作業のために必須だが、反対派に何度も阻止された。
ある作業員が、「浦島さん、最初の頃、マイクでずっとしゃべっていたでしょう? あれはこたえましたよ」と言ったので、驚いた。前年九月、海上行動が始まったばかりの頃、私は「説得隊」の一員として、阻止船から作業員や施設局員、チャーター船の船長らに訴える呼びかけてを続けてたのだが、それが届いていない空しさを感じてカヌー隊に転じたのだった。しかし、態度には出さなくても心には届いていたのだとわかって、とてもうれしかった。
また、別の作業員は、身振りをまじえながら、自分が当初、かなり暴力的であったことを率直に語ったあと、「でももう、今はあんなことはできませんね。皆さんに情が移っていますからね」と言う。「あの寒い冬をよく持ちこたえましたね。私ならとてもできませんよ」。
お互いに人間なのだ。こんなところで出会ったのは不幸だが、しかし、こんなことがなければ、一生縁のなかった同士かもしれない。
- 作者: はやみねかおる,佐藤友生
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/07/25
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- 作者: 鴻巣友季子
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- 発売日: 2003/08
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ことばとロジックの戯れにみちた、ふたつのアリス。この気ままな遊園地に注釈の網を打つこころみは、ともすれば途方もなく無粋になりかねず、だからこそ、まばゆいばかりに潔い。かつてG・K・チェスタトンは「アリスを”解釈”するな」と叫んだ。ガードナーは「おちの解らないジョークのどこがジョークだ」と言いとおした。原文との距離をはかりかね、訳文に小さな脚注をひとつを附けるのに兢々とするわたしの、なんと小ずるく驕っていることか。
ひとつだけ反論すると、いくら頭に来ても原書を投げる翻訳者はいないと思う。ほかの何を投げることがあっても原書だけは投げない。訳者にとって原書はある意味、存在理由のようなものだし、逆上してもそのへん「しらふ」なのが、翻訳者の翻訳者たる特質のはずだ。小心というか。常にどこか冷静というか。逆にいうと、カッとなって原書まで投げてしまえる人は、翻訳というつましい仕事には向かない。訳者は作品の情熱をわが身の中にくぐらせることはあっても、それに浚われず、濡れそぼることなく、酩酊してしまわず、どこか覚めてあるべきだ。一般にあまり可愛げのある態度とは言えないが。
- 作者: 上遠野浩平,緒方剛志
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
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「失敗するとわかっていても?」
「それが失敗だと誰が決めるんだ?」
(略)
「誰にもそんなことはわからないさ。そしてそれが失敗かどうかも誰にも決められはしない」
男は空を見上げたままで、少女の方を見ないで言う。
「君がこれから何かをしたとして、それが途中で終わってしまったとしても、君の次に誰かが、それをもっとうまくやってくれるかもしれない」
「誰が?」
「それはひょっとすると、君の敵だった者かも知れない。ただの通りすがりの者かも知れない。まったく関係のない人かも知れない。知れない、知れない・・・・・・そんなことは誰にもわからないよ」
- 作者: 群ようこ
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マリア様がみてる 8 いとしき歳月(後編) (コバルト文庫)
- 作者: 今野緒雪,ひびき玲音
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2001/04/03
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ならば、スタートラインに先に立たれただけの話だ。
いや、スタートのピストルが鳴り響いた後であろうと、ゴールのテープが切られていない限り、まだ十分に間に合うはず。
もし、テープが切られてしまっていたら――。その時こそ、横から奪い取るのみ。
「なぜ、そう思われるんです?」
祥子の言葉に、始業のチャイムが被った。
「なぜ?」
私はそう言って、身を翻した。
「志摩子には、私の方がいいに決まっているからじゃない」
- 作者: 万城目学
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2007/04
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- 作者: 渡海奈穂,阿部あかね
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2009/07/10
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- 作者: 橋本治
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1991/10
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しかし私は知らなかった。後見とは決して”庇護する”ということではないということを。後見とは、未だ力ない者に対して既に力ある者が、身を屈し、膝を曲げて忠節を誓う倒錯であるというその事を。
- 作者: 須賀しのぶ,船戸明里
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2002/04
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「ギゼッタ海軍でなぜ失脚したか、よくわかりました。彼は、先が見えすぎる」
「それは指揮官として不可欠だろう」
「おわかりでしょう、私は戦術レベルの話をしているのではありません。軍人は、我々が戦略に基づいて出した指令を忠実に遂行するのが本来の仕事。彼の思考は、その範疇を大きく超えています。数年後の、エティカヤ海軍とトルハーン艦隊の衝突を想定して行動するなど――一介の海佐ごときにあってはならないことです」
(略)
「政治は政治家、軍事は軍人。このふたつを一人の人物が負うことは、非常に危険なのですよ。ですが、ギアス海佐は、よかれと思ってしたこととはいえ、無意識のうちに侵してはならぬ境界を越えてしまった」
執務机に両手をつき、ロイは身を乗り出した。
「重要なのは彼が無自覚であり、その行動に私心無く、ただひたすらルトヴィアのためを思うゆえであるという点、そして彼の行動は長い目で見れば正しいという点です。無自覚ゆえ、今後も正しいと判断すれば同じことを繰り返すでしょう。そして、彼の見ているものが、目先のことしか見えぬ民衆には見えないことが多い。ですから大勢の理解を得られず、逆に陛下を追いつめることになりかねます」
(略)
「(略)ギアス海佐は頭は良いが、ほとんどの者が自分よりもはるかに視野が狭いということが理解できないからこういうことになるのです。現実を考えれば、それこそあのままトルハーンを艦もろとも沈めてくれたほうがはるかによかった」
- 作者: 須賀しのぶ,船戸明里
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- 作者: 西村淳
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- 作者: フィリップカリー,Philip Currie,小畠郁生
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