沖縄防衛局、未明にダンボール十数個を県庁に投機

 28日未明(4時頃)、沖縄防衛局が十数個のダンボールを沖縄県庁の守衛室に運び込み置き去りにしていく、ってな珍事が発生しました。中身は「アセス評価書」7000ページだそうです。

分乗していた職員約20人がそれぞれ段ボール箱を一つずつ抱え、夜間の通用口から16箱を警備員が1人だけいた守衛室に次々と運び込んだ。
 同日午前1時から現場で警戒していた市民団体のメンバー1人が激しく抗議し、報道陣が一連の行動を取材する中、評価書を入れた数個の段ボール箱を車両に持ち帰った。真部局長が乗った車両を含め3台は到着後約5分で現場を去った。
(略)
 防衛局側が立ち去った後、県の上原徹管財課長ら職員数人が現場に到着。上原課長は押印など所定の手続きがないため「文書の受け取りは完結していない」と話した。(http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-185687-storytopic-53.html[辺野古アセス評価書、未明に搬入 県「手続き完了していない」])

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-185702-storytopic-53.html(動画)


 県側には一切事前連絡は無かったそうで、この未明の有無を言わせぬ襲来はこの前の「犯す前に言いますか」発言と絡めると、あれは比喩でも何でもなかったんだな、とわかって味わい深いですねぇ。
 って言うか、ビラ配りで不法侵入となるこの国でこの行為は不法侵入に当たらないんですかね。何の連絡もなく未明に大量のダンボールを抱えて守衛室に押しかける行為って沖縄防衛局の大好きなアメリカだったら発砲されるレベルじゃないかと思います。良かったね、沖縄が日本に復帰していて。


 この受け取りに県側の立会いはなく、受け取りに関する正規の手続きは行われていないことになります。
 こちらのブログでは、その点より県は受理をするべきではない、と主張しています。

アセス評価書は宛名などもなかったというから、まず基本的なところで不備だ。双方の形式的確認もしていないので、手続きとして不備だ。受け取りの際に県側は確認していないので、受け取りにはならない。警備員には受取る権限は付託されていないだろう。つまり、沖縄防衛局はアセス評価書をまだ提出していない。そのため、手続き上の日数のカウントは、まだ始まっていないといことになる。
 県としては提出の手続きは終っていませんよ、と国に報告して静観した方がいい。県の今の副知事の一人は弁護士であり、専門家だ。当然、分っているからそうするだろう。 (http://kaihousyoukoku.asablo.jp/blog/2011/12/27/6266350


 私もまったく同感で、県はこのような不正規な方法で押し付けていったものを受理する必要はない。かつての琉球国であればそのようにあらゆる論法を駆使して抵抗したことでしょう。第一このような前例を認めては、国側にごり押しした者勝ちだとのメッセージを送ったも同然だと思う。


 また、こちらのブログではアセス自体がすでに違法と主張しています。

○「方法書」以前に事前調査を行い、それを「方法書」に基づき行うべき現地調査の成果として組み込み、欠陥だらけの「方法書」と「準備書」を通過させる、と方法は、真っ向からの環境アセスメント法違反である。
○「方法書」から、追加修正、「準備書」と進むに従い、環境影響評価そのものに関わる内容が追加されてきた(後出しジャンケン)。たとえば、オスプレイ配備、洗機場、ヘリパッド、弾薬搭載エリア、燃料桟橋である。また、埋立の砂をどこから持ってくるかの問題もある。このような場合、「方法書」の作成にたち戻らなければならない。

従って、今回の郵送による評価書提出に関して、沖縄県知事が「法令や条例に基づいてやるのだから、出すなというわけにはいかない」と発言しているのは、「提出」という一点だけをとってみればその通りだが、アセス全体がもはや法律違反になっているいま、態度保留の弁と受け取られても仕方がないかもしれない。(http://pub.ne.jp/Sightsong/?entry_id=4072363

 というわけで、今回は沖縄防衛局の(いつもの)暴挙、まさしく「犯す前に言わない」的な行為について抗議し、沖縄県側にこのような不法投棄にも等しいものを受理しないよう要望してほしい、とこの記事で訴えようと思ったのですが、なんと知事らはあっさり受理の方向で進めるとの報道がありました。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-185715-storytopic-53.html沖縄県、アセス受理の方針 防衛省に伝達 普天間移設問題)


 まったくなんともはやです。ただ、この件に関してまだ方針の段階ですので、引き続き沖縄県にそのような方針を決めたことへの抗議および撤回を求めて意見を出していこうと思いますし、また皆さんへご協力をお願いしていきたいと思います。




 沖縄防衛局は27日に民間の宅配業者を使って搬入を試みましたが、市民団体200人の阻止行動にあい果たせませんでした。一部で市民団体への批判が出ているようですが、それについては以下のような反論をしておきます。

・民間の業者を使い抗議の矢面に立たせるのは沖縄防衛局の常套手段であること。その視点を欠落させての批判は一見中立的良識的な批判に見えて実は単に沖縄防衛局にいいように踊らされているだけであること
・そもそもアセス評価書のような重要なものを提出するには、沖縄防衛局自身が県に赴き説明とともに渡すのが最低限の筋道であるのに、それを郵送という一方的方法で送りつけたことがそもそもおかしいこと→沖縄防衛局や国は今まで「地元によく説明して理解を〜」と言っていたわけだが、今回の説明責任の放棄はつまり「地元に説明し理解を得る」という仮面さえかなぐり捨て、「こえからは有無を言わせず犯します」という宣言と捉えられてもしかたない
・またもっと根本的なことを言えば、「アセス評価」を提出するという段階まで来させてしまったこと、それを止めることが出来なかったという点で言えば国民全体に責任があるのにまるで他人ごとのように批判すること

などですかね。それにしても一部の批判を見ているとこの国の人々のなんという扱いやすさにブルーな気分になります。