環境評価書、いまだ守衛室から動かず。しかし県は受理の方針?


 昨日、沖縄防衛局が環境評価書入りのダンボールを沖縄県庁に投機し、県当局もこのダンボール置き去りを「提出」と見なし、受理の方針を防衛庁に伝えた、と書きました。

 しかし、現場で阻止行動をしている人のブログによれば、なんとこの環境評価書は28日の段階でいまだ守衛室から動いておらず、県当局は中身の確認をしていないとのことです。(以下、引用中の太字はブログ主による)

県にこれを受理しないよう求めて、1階の守衛室周辺や4階の環境生活部、6階の知事室前で座り込み行動が行われた。県当局は段ボール箱の中身を確認し、守衛室から持ち出そうとした。しかし、多くの市民が廊下に座り込んで抗議の意思を示し、国会議員が段ボール箱を監視したことによって、中身を確認することすらできなかった。
 座り込みの合間には、県議会議員や国会議員により、県当局との交渉の状況が伝えられた。早朝から午後5時前まで長時間の座り込み・抗議行動が行われた。守衛室に持ち込まれた段ボール箱は開けて中身を確認することができず、県の担当部局と沖縄防衛局との間でも、環境アセス条例に照らし合わせて必要部数を満たしていないことや書類上の不備が確認されたという。提出時間、手法の異常さを考えても、本来は再提出を求めるべきにもかかわらず、事後的に対処することで、県当局は庁舎内に持ち込まれたことをもって受理する意向を示した。その報告に、抗議と怒りの声が廊下に満ちあれた。(http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/6d3012175051637f4b11f11d983e9dc3

 詳細な時間は書かれていないものの、少なくとも28日午後5時の段階で環境評価書が入ったダンボールは県庁の守衛室に置かれたままで、県当局は中身を確認できていない、と読み取れます。
 しかし、県当局が防衛庁に受理の方針を伝えた、との報道が沖縄タイムスによってなされたのは28日の午後7時。この2時間の間に何か進展があったのかもしれませんが、その可能性は低いでしょう。ちなみにこれは私の記憶に基づきますが、中国新聞は共同の配信により午後4時前後に県が受理の方針を決定したとの第一報を伝えています(http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201112280152.html)。
 県の方針が確定した時間を沖縄タイムスの報道より少し前の時間と推定しても、県当局は評価書の入ったダンボールの中身の確認もしないまま受理の方針を決定した、ということになります。

 仲井真知事は市民の前に出てきて「県内移設にあくまで反対する」といった宣言を行いましたが、このような沖縄防衛局の既成事実作りを追随したに留まらず、確認してもいない環境評価書を早々に「受理する」などと防衛庁に伝達するなど、明確に国と防衛庁の側に立っているとしか思えない行動をしているわけです。
 このような県当局と知事の二枚舌的な行為がはっきりした今、引き続き県に環境評価書を受理しないよう求めていくのと同時に、県と知事のこのような対応を批判していかなければならないでしょう。


 以前も書きましたが、この騒動で注目すべきなのは、沖縄防衛局のなりふりかまわぬ態度です。沖縄防衛局、国はこれまでたとえ口先だけでも「よく県民に説明し理解してもらう」という姿勢だけは取ろうとしていたわけです。誰も信じてませんでしたが、少なくとも(沖縄以外の)日本国内向けにはある程度有効な姿勢だったのかもしれません。
 しかし、今回はその仮面を完全に投げ捨て、説明にも来ないで一方的に郵送しようとしただけでなく、それを阻まれるとあのような暴挙に出たわけです。つまり、もはや国も防衛局も強引にでも既成事実を積み上げていってしまえ、という方針になったと言ってもいいでしょう。
 であれば、県当局が今回この防衛局・国の方針に追随し、なし崩し的に受理を行ってしまえば、以後も沖縄防衛局・国は同様の手段を取り、しかもそれをエスカレートさせていくことでしょう。暴挙に対して一度譲ってしまえば、後々取り返しのつかないことになるものです。

 なお報道によると沖縄防衛局がこうも強行手段に出たのは対米公約を果たすためらしいです。

虚を突く搬入に反発した県内移設に反対する県民が県庁に押し寄せ、提出を阻んで座り込みを続けたが、県は受理する方針を決めて防衛省に伝達した。対米公約化していた年内提出は県の仕事納め当日にぎりぎり果たされた。(http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-185717-storytopic-3.html

 なんだかこれを見ると沖縄防衛局と県当局の息はぴったり合っているようにしか見えませんが・・・・・・まあ、そうなんでしょうね。


 そもそも今回沖縄防衛局は16箱のダンボールを搬入したものこれが全てではありません。まだ数箱分の環境評価書が未提出のままであるそうです。(引用中の太字はブログ主による)

防衛局が正式な受理要件を満たすためには、未提出の部数を届けることが必要なため、市民たちから「これ以上は、絶対に持ち込ませない」と息巻く声が上がった。(http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-12-29_27932/

 と、この通りであれば、県側がすでに「提出」された中身を確認していないだけでなく、沖縄防衛局側もいまだ受理要件を満たしてはいません。「沖縄防衛局が評価書を搬入」「県が受理の方針」という報道が成されているため、もはやこの段階での抗議は終わったと私も思いそうになっていましたが、まだ「提出」を巡る段階も終わりではありません。
 なのでまだ間に合います。引き続きこのような点にも言及しながら、受理の方針を翻すよう県に求めていきたいと思います。よろしければ、これを見ている人もご協力ください。意見の送り先は沖縄県の公式HPでわかります。


 なお、沖縄防衛局の「提出」については、「未明の搬入」という行為自体に留まらず、「提出」そのものに県議会長や県出身の国会議員が超党派で抗議を行っています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-12-28/2011122815_03_1.html沖縄県議会議長が緊急抗議声明)
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-12-29_27939/(県関係国会議員「無効」と緊急声明)


 最後に、ダンボールの移動と防衛局の新たな投機を阻止すべく現場でなおがんばっている人々に対し、陰ながら応援の声を送りたいと思います。