『ヤマピカリャーの島―西表島の自然と人間』

ヤマピカリャーの島―西表島の自然と人間 (1985年) (おきなわ文庫〈22〉)

ヤマピカリャーの島―西表島の自然と人間 (1985年) (おきなわ文庫〈22〉)


 沖縄地元の老舗出版社ひるぎ社の「おきなわ文庫」シリーズの1冊。ちなみに「ヤマピカリャー」とは西表の言葉で「山の中で光るもの」という意味であり、すなわちイリオモテヤマネコのこと。
 西表島フリークの著者による自身の西表体験と島の動植物観察記録といった内容。85年の出版なので、「西表島横断」の詳細で実践的なルートガイドは今でも有効か不明だが(当時よりルートは整備されていたり、ダメになっていたりするかもしれない)、カンムリワシやヤマネコ、干潟の生物やマングローブなどの生態は今でも変わることはないであろう。
 読み物的要素が強いので西表の自然に関する入門書としてお勧め。著者の西表への愛に共感し、思わず西表フリークになってしまう1冊。
 惜しむらくは「西表島の自然と人間」という副タイトルなのに、島の人々については祭りや炭坑の歴史などを除いて描写が少ない点である。