辺野古の裏で・・・


名護市長選や日米同盟の関係で辺野古が焦点化されていて、それはもちろんとても重要なことなのだけど、その裏ではこんなことも起きています。
以前から辺野古ほど注目を浴びていない事件なので、とりあげておきます。

高江ヘリパッド、防衛局が住民提訴 住民側は抗議声明


 米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設をめぐり、沖縄防衛局は29日、現場で反対運動する住民2人を相手に通行妨害禁止を求める訴訟を那覇地裁に起こした。国が司法を使って住民運動を止めようとする方法に、住民側は抗議声明を発表し「許し難い住民弾圧」と訴えた。
 提訴を受け、民主党県連(代表・喜納昌吉参院議員)は、県選出・出身の与党・無所属の国会議員7人でつくる「うるの会」を通して政府に撤回を求めていくよう働き掛けるほか、政府与党の沖縄基地問題検討委員会にも撤回を働き掛ける考えだ。
 同局は、ヘリパッド建設に反対する高江住民ら14人を相手に、通行妨害禁止の仮処分を那覇地裁に求め、地裁は2009年12月に、男性2人に通行妨害禁止を命じる決定をした。住民側は地裁決定を不服としたため、地裁は沖縄防衛局に提訴するよう命令していた。
 同仮処分の申し立ては、前自公政権下で起こされた。防衛局側が提訴しなければ、仮処分は取り消されるため、住民側は政権交代を機に、申し立て取り下げや提訴断念を新政権に求めていた。
(中略)

<解説>前政権の姿勢踏襲 提訴の是非検討必要
 今回の沖縄防衛局の提訴は、民主党を中心とする新政権がヘリパッド建設を強行する姿勢を明確に示した。住民2人への通行妨害禁止は仮処分が決定しており、今回の提訴で維持される。前自公政権が司法を利用する形で行った住民運動を“排除”するやり方を新政権が引き継いだ格好だ。
 防衛省は「(北部訓練場の一部の)早期返還を実現することが重要」と、まるで訴訟が工事再開に不可欠な口ぶりで「妨害行為について裁判所の理解が得られた」と提訴の正当性を強調する。
 だが、裁判所は仮処分決定の中で、ヘリパッド移設について「打開を図る余地があり得るなら、その糸口の模索がされるべきである」と住民運動を一定程度許容した上で、双方の対話を促すとも取れる判断を示していた。
 今回、昨年12月の仮処分決定から約1カ月半あったにもかかわらず、現地視察するなど、新政権下で裁判の妥当性を検証した様子はみられない。民主党県連からも提訴撤回の声が上がっており、政府は、主体的に訴訟の是非をいま一度検討することが求められる。(謝花史哲)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-156567-storytopic-1.html

 このヘリパッドが作られようとしている東村高江*1もまた美しい自然が残る地域であり、北部地域の重要な水源もある。しかもそのヘリパッドは集落を取り囲むような形になり、さらに以前から数多くの事故を起こし「欠陥機」と呼ばれるオスプレイが配備されるかもしれない、という話もある。
 住民は激しく反対し、工事現場の入り口に座り込みするなど反対運動を行ってきた。そして座り込みは「通行妨害」だとして沖縄防衛局*2に訴えられてしまったのである(2008年12月)。
 訴えられた人の中には当初、8歳の子供や座り込みに参加していない人まで含まれていて(現場にいないのにどうして「通行妨害」ができるのか?)、沖縄防衛局の目的が住民運動つぶしであることは明らかである。

 この暴挙は、もちろん沖縄防衛局の暴走という可能性もあるが、基本的にこのようなことは時の政権の「顔色」を見て行うものであろう。
 解説記事にもあるように、鳩山政権は目立つ辺野古問題については(歴代自民党政権に比べれば)「良心的」なポーズを取りながら*3、あまり注目されていない高江ヘリパッドについてはこのような態度で臨むのだろうか。
 この問題について納得の行く動きを見せなければ、鳩山政権は従来とまったく同く、いや、辺野古の件で県民に変な期待を抱かせた分だけタチの悪い、なんとしてでも沖縄に基地を押し付け続けようとする政権だと断定せざるを得ない。
 と言うより、政権がこんだけ変わっても同じことをするなら、沖縄に基地を押し付けるのは政権の違いとは無関係な日本の「国是」と言ってもいいだろうか。


 で、ヘリパッド建設自体もこうなっているようです。

「区民犠牲にするのか」 高江ヘリパッド移設工事再開

東村高江区へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設工事に関し、工事再開の方針が示された1日の住民説明会。「区民が犠牲になってもいいのか」。工事断念を強く求める住民らに対し「移設は県民の負担軽減のため必要」と繰り返す沖縄防衛局。区民の質問は途絶えず、時折やじも飛ぶなど約3時間、紛糾した。会場の高江区公民館には区外からも関係者が集まり、説明内容を注視した。
(中略)
高江区の仲嶺武夫区長は「区では過去2回の反対決議をしている。その立場は変わらない」と強調。「ヘリパッドいらない住民の会」の安次嶺現達共同代表は「本来なら前政権の裁判を取り下げ住民側と話し合うべきだ。現政権はそれもせず工事を推し進めるのか」と憤った。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-156748-storytopic-1.html

……高江区民は「県民」じゃないの?
それにしても辺野古といい、高江といい、こんなにも北部の自然を破壊しようとしているのだから、「米軍施設おかげで開発の手を免れ北部の自然は守られた」とかいう神話*4もいいかげん終わりだな。

*1:沖縄本島北部地域

*2:防衛省の沖縄出先機関。在沖米軍のためにいろいろがんばる。沖縄県民を怒らせる言動しかしない。

*3:そのポーズももうかなりぐだぐだだが

*4:もちろん「北部訓練場という米軍施設のおかげで北部の自然が守られた」などというのは虚偽である