高江の現状


 お久しぶりです。
 大震災の影響はほとんど受けなかったのですが、やはりショックは受けました。
 余震,原発,被災地支援の困難などまだまだ予断を許さない状況が続いていますが、一日も早く被災地に十分な支援がまわり、事態が落ち着くことをお祈りします。 
  辺野古・高江などの基地建設阻止運動では、全国から多くの支援をいただきました。高江現地に駆けつけてくれた本土各地のみなさんがご無事であれば良いのですが……いつか事態が落ち着いたら、また(今度は基地反対支援とかではなく)沖縄に来ていただきたいですね。


 その高江ですが、先月はこのブログで支援を呼びかけていたのに、今月に入って更新できずたいへん失礼しました。高江の状況を知りたい方はもう「やんばる東村 高江の現状」などで確認済みだと思いますが、ここでもちょっと案内を。


 3月に入り状況は安定しています。工事区域にあった重機もすでに住民の立会いの元、沖縄防衛局は撤去しました。
 ただ、以前から沖縄防衛局は3月以降*1も重機を使わない工事のことは匂わせており、その対策と何より7月以降に再開されるだろう本格的な工事にどう対処するか、その問題について考えていかなければならないところでした。
 しかし、その矢先にこのような大震災が起こり、さすがに非常識・非人情が組織になったような沖縄防衛局も近日中に大きな行動をすることはないのではないかと思います……まあなんとも言えませんが……彼らの上にいる防衛庁も政府もそれどころではないでしょうし……


 でも一方では、こんな時にこんなことも。
辺野古の浜のフェンス建設現場*2』(海鳴りの島)(http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/e6ababe547721d63d5d4aac087056dd7

 工事用フェンスの向こう(キャンプ・シュワブ内)では、クレーン車やパワーショベル、ダンプカーなどを使ってフェンスの基礎部分の工事が進められていた。(中略)同時に、辺野古新基地建設をあくまで進める、という政府の姿勢を示すものだ。

 3月14日の光景。不謹慎大嫌い・自粛&「こんな時に!」大好きな日本国民としては怒るべきポイントですかね。


 7月以降の動きですが、これもまだ何とも言えないです。今回の大震災によって、これから日本は好むと好まざるとを問わずに変わっていくことでしょう。それがどのようなものなのかまだ予想はつきませんが、変わっていかざるを得ないと思います。そして、その変化が基地政策・沖縄政策にどう影響するのか、それを見極め沖縄も動かなければならないでしょう。


 しかし、「変わる」と書きましたが、それも違うかもしれません。
 例えば原発を巡る言説について。これほどの事故が起き住民や原発労働者を危険にさらし諸外国も危惧する中で、ネット上ではなお少なからぬ人が必死に原発を擁護しています。その中には反原発派・脱原発派も耳を傾けるべき一理ある意見もあるかもしれませんが、私が思うにその多くの言説の中に「変わってしまうこと」それ自体に抵抗したいという意識があるようも思えます。この場合、原発の廃止をも含めたエネルギー政策の転換、それによって(擁護派言うところの)「経済の悪化」や「今まで通りの生活ができなくなること」への怯えです。
まさしくそのような「時の流れを止めて変わらない夢を見たがる者たち」*3あるいはその欲望によって一部地方や原発労働者は犠牲になってきたわけです(ちょうど沖縄米軍基地問題の構造と似ています)。また、「変わらざるを得ない」情勢の中で、ただ既得権を守りたいという理由で「時の流れを止め」*4ようとする力は、歪みを生んでしまうことでしょう。


 また、米軍がいろいろと手助けしていますが、この件についてはもう少し被災地が落ち着いてから言及しようと思います。一言言えば、被災地を救うためにはそれが有効な方法であれば、あらゆる方法が採られることを私も望みます。そういう意味で、米軍の救援活動もどうこう言う気はありません、他の国々が派遣する救援隊と同じように。ただ、それを変な方向に持っていこうとする言説には、落ち着いた後もまだ無視できないレベルで存在するなら言及します。

 ま、とりあえず、沖縄の米軍は「こんな時に」も通常運転のもようですが。

東北沖にオッカナビックリ出かけていって、だから、海兵隊が必要なのだ!と、ココゾとばかりに宣撫活動を行う米国軍隊・・・海兵隊の本分はヤッパリ殺人!とばかりに、朝から銃殺訓練の機銃掃射の音が集落に、漁港に響き渡り続けています。(辺野古通信 henoko.ti-da.net)


 ……3月15日の辺野古からの記事……いやぁ、日常の光景ですねぇ。

*1:天然記念物の鳥・ノグチゲラの営巣期間に配慮して3月〜6月の間は重機など音を出す工事はできない

*2:辺野古の浜はキャンプ・シュワブと繋がっており、従来は境に鉄条網をしてあったが、最近シュワブ内で進む辺野古「移設」工事を隠すためかフェンスが作られた

*3:中島みゆき『世情』の歌詞

*4:『世情』で興味深いのは、この「時の流れを止めて変わらぬ夢を見たがる者たち」と闘う者たちとして「変わらない夢を流れに求め」る者たちが登場する点。どちらも「変わらない夢」が関わるが、前者(歌詞では後者だが)が「時の流れを止める」のに対して、後者は「流れ」の中にこそそれを見出す。「シュプレヒコールの波 通り過ぎていく 変わらない夢を流れに求め 時の流れを止めて変わらない夢を見たがる者たちと たたかうため」と歌われている