国慶メモ


  国慶節の式典、生中継で全部見ましたが、一言で言えば「豪華絢爛」でしたね。
 せっかくですので自分用メモのつもりで以下にまとめてみたいと思います。ただ、私の中国語リスニング能力はほぼ無い上に、メモしながら見たわけでもないので、細かいところでいろいろ違うかもしれませんが。
※めんどうなことになりたくないので人名などはひらがなで書きます。あと中国語で書いてもわかるものは中国語で、わからないものはブログ主が適当に訳しました。



 式典の開始は朝の10時(日本時間で11時)。
 本日の北京はみごとな秋晴れ。まさしく式典日和。こんなに美しい空は珍しいんじゃないかな?


 まず国歌斉唱とともに国旗掲揚。意外なことにここ数日の国慶節モードになったTVでも本番の10月1日もほとんど国歌である「義/勇/軍/行/進/曲」は流れなかったと思う。何か忌避されているような気がするほど。まともに流れたのはこの国旗掲揚の時だけかも。(再放送見たら、閲兵の時アレンジされたのが流れていたが)
 代わりによく聞いたのが「没/有/共/産/党/没/有/就/新/中/国(共/産/党がなければ新中国もなかった)」という歌。これも有名だがわりと古い歌なのだが。


 国旗が揚がりきり、これを担当する軍人さんが退場すると突然一切の音が止んだ。中継TV局が音声録画を切ったのかと思うほどの静寂*1
 静寂の中、何も次の行動が起きないまま数分が過ぎる。いきなり何かトラブルが起きたのかと思いはじめた時、こきんとうが黒塗りのオープンカー*2に乗って天/安/門から登場。
なんと護衛車の一台もつけていない。そしてこきんとうは無防備に上半身を外にさらしている。・・・格好の狙撃対象だと思った。
まあ、付近の警備は万全なのだろうが、こきんとうが再び天/安/門の中に戻るまで私は「もしかしたら万分の一の可能性で狙撃されちゃうかもしれんな」とか思ってちょっとハラハラした(笑)。さすがに生中継で人が狙撃されるのは見たくねぇな・・・。


 相変わらず静寂が支配する広場に出ると、別の場所からやはり黒塗り改造オープンカーに乗って出てきた軍人と向き合うようにこきんとうの車は止まる。
 この時カメラがズームアップしたのだが・・・適度に形のいい白雲もありここまでのは年に何日もあるまいと思うほど美しくそして秋空らしく常より高く見える空と、その下の勇壮な天/安/門およびそこに掲げられたもうたくとうの肖像画・・・をバックにして何万人かの観衆が見守るなか向き合うこきんとうと軍人の映像はヤバイくらいに一分の隙もなく決まっていた*3
 後で映像を見たこきんとうもここまで素晴しい映像が撮れて(そして全国に流れて)いたとは思わなかっただろう。天が味方したかと思ったかもしれない。


 さて、あいかわらずの静寂の中、軍人がこきんとうに向けて何かを叫ぶ。たぶんこの軍人は国防相で「全軍の準備が整いました。閲兵をお願いします」とか言ったのではないかな?
 そしてこきんとうの車が動き出し、軍歌らしい音楽が静寂を破る。あいかわらず一台の護衛車も引き連れないまま、車は道路上に整列した解放軍の各部隊の前を通り過ぎていく。
 各部隊の前を通りすぎりたびにこきんとうが何か声をかけ、整列した軍人たちが一斉に声を上げて応える。後で昔の閲兵式の映像を字幕付きで見たのだけど、昔と変わらないとしたら、こきんとうは各部隊に向かって「同志們、好!」と言い、それに対して兵士たちは「首長、好!」と応えていたのだろう。
 そして一通りの閲兵を終え、狙撃されることのなくこきんとうは天/安/門へ。

 
続いて軍事パレードである。後で知ったのだが、軍事パレードは10年ぶりとのこと。毎年やっているのかと思っていたのだが。
 勇ましい音楽が流れる中、まずは陸海空の各軍ごとに若い将兵たちが隊列を組んで一矢乱れぬ行進をする。どうも所謂「学員兵」が多いようだ。特殊部隊や武装警察の隊伍もある。また女性兵の隊伍もあったが、これは各軍ごとではなく三軍の女性将兵を一つの隊伍にまとめてのもの。
 ちなみにこきんとうはずっと天/安/門上から手を振っているのだが、この女性隊伍が天/安/門前を通りすぎた時は、他の隊伍が通り過ぎた時よりずっと柔らかな笑顔になったような気がしたが・・・気のせいと言うことにしておこう。


 ところでこきんとうは人民服姿で式典にのぞんでいたが、サーチナというサイトの指摘によると、従来の国/慶/節では国家主席は軍服姿で参加しておりそれ以外のかっこうでの参加は異例だと言う。また式典でこきんとうはたびたび笑顔を見せていたが、これも異例。威厳を保つため、国家主席は国/慶/節の式典で笑顔を見せることは今までほとんどなかったという。


 さて人の行進が終わると、続いて陸軍を中心とした戦車部隊をはじめ各種軍用車の行列。
・・・・・・なのだが、私はまったくこういう軍事的な知識がない(戦車と戦車ではない軍用車の区別がかろうじてつくくらいである)。なので戦車一つとっても部隊ごとにやたらいろいろな戦車が紹介されていたが、何がなにやらわからない。まあ、いろいろな色の戦車があるんだな、としか・・・。
戦車部隊に続くのは何か変なもの(弾道弾とかいう奴か?)をいろいろ背負った軍用車部隊。これまたいろいろな部隊があって、戦闘部隊だけでなく補給部隊や通信部隊もパレードに参加していた。

 ・・・と思っていたら最後の方に「核弾頭部隊」という不穏な部隊が登場。
・・・うわわ、危ねええー、その背負っている弾頭の中空っぽだろうなぁ?!


地上のパレードが一通り終わると続いて各種軍用機が北京上空に飛来。戦闘機だけでなく、空中給油機部隊もいる。私は軍事的なもの、特に軍用機の類には嫌悪感を持っているのだが、秋晴れの北京の空を無数の戦闘機やヘリが飛びまわる光景はそんな私でも「圧巻」と思ってしまうものだった。
後でニュースで知ったのだが、この時お披露目された軍用機は、国産やあるいは中国が自力で設計から開発までした機首が主に紹介されていたようだ。

 
 戦闘機の演舞が終わると続いて海軍の潜水艦や軍艦・・・・・・は映像だけでしか。海軍だけかわいそう(笑)!


 軍事パレードが終わると続いて「思想パレード」*4)なるものが始まる。
 数百人の人間が、共和国の歴史を象徴するオブジェクトや人物の肖像画を中央に配置した正方形の隊伍を組んで行進すると書けばイメージしてもらえるだろうか?
 「万歳 万歳!」の声とともに国旗や国章の隊伍に続いて現れたのは、もうたくとうの肖像画を中央に配置した隊伍。彼のテーマソング(?)である「東/方/紅」とともに1949年に中華人民共和国の成立を宣言した際のもうたくとうの声が流れる。もうたくとう(の声の録音)が「万歳」と言うと、会場の人々がそれに応えて「万歳」と叫ぶのが印象的だった。「毛/沢/東/思/想万歳」「ここより中華人民共和国ははじまった」の文字も一緒に掲げられている。
 それに続くのがとうしょうへいの肖像を掲げた隊伍。ここでもとうしょうへいの声が流される。ただ私のリスニング能力では何を言っているか、いつの演説のものかはわからない。ただたぶん改革開放に関することだったのではないか、と思う。中継のアナウンサーがしきりに「改/革/開/放」を連発していたし。肖像画の後ろには「堅持勝g/小/平/理/論」「推進改革開放と社会主義現代化」の標語が並ぶ。


 ところで前から気になっていたのだが、もうたくとうは「思想」でとうしょうへいは「理論」なんだな。この使い分けはかなりはっきりしている。


 ・・・で、次に出てきたのが・・・なんとこうたくみんの肖像画
 えええー、ちょっ、あんた、まさか自分がもうたくとうやとうしょうへいと肩を並べられるような存在だと思ってんの!? 
 ちなみにモノホンは天/安/門の上にいます。ここでも彼の演説の録音が流れた。彼の肖像画の後ろには「堅持三/個/代/表/重要思想」「建設小康社会」の文字が。・・・いや、「三/個/代/表」って思想か?
で、こうたくみんの次はこきんとうまで登場。・・・いや、だからあんたも自分がもうたくとうやとうしょうへいに匹敵する存在だと(以下略)。彼だけが肖像画ではなく写真での登場、もちろん演説の録音付。後ろに続く評語は「科学技術発展(の道を)切り開こう」「特色ある社会主義への歩みを止めるな」の文字が。おそらくこれがこきんとう政権の当面の重点政策なのだろう。てっきり「建設和/諧社会」の文字もあるかと思ったのだが?


ちょっと注目するのは、もうたくとう思想には「万歳」とは言ってもとうしょうへいやこうたくみんの政策のように「堅持」という言葉は用いられていない点だ。もうたくとう思想は思い出になったらしい。


このパレードが終わると続いて各産業界(?)の発展を表現するパレード。さっきと同じように正方形の隊伍を組み、その中央にオブジェクトが配されその上に各界を代表する人々が乗っている。このへんになると音楽も勇壮なものから軽快な曲調のものが多くなってくる。
ざっと覚えているのを上げてみると「農業方隊」「新農村建設方隊」「交通輸送方隊」「工業方隊」*5「発展教育方隊」「発展文化方隊」「発展体育方隊」など。また「環境保全方隊」「民主政治方隊」「法治国家方隊」「神船方隊」「北京オリンピック方隊」なんてのもあったし、「建設和/諧社会方隊」「万衆一心隊」という標語的な隊伍まであった。
 一方、同じく天/安/門の正面では人文字が「社会主義好」「中国共産党万歳」「服務人民」「発展科学技術」「和/階社会」など次々と文字を作っていく。これがまたようここまですばやくできるもんだと思うほどくるくる変わるのだ。

 
さて、パレードはまだ続く。
 お次は各省または大規模都市がそれぞれ山車を持ち寄って練り歩くというやつだった。ただせっかく全国から集まっているのに各省の特色を生かした山車は少なく、テーマパークのパレードのような派手なだけの山車が多かった。
そんな中で巨大な爬竜船のオブジェクトを山車の上に掲げてそこに乗った人々が空中でオールを漕ぎ、伝統的な爬竜船レースを模している出し物はなかなかだった。
そのパレードの最後に、なんと「台湾」と書かれた山車があった。なんともあざといと言うか、たぶんこれはヤラセなんじゃないかとも思う。


 いい加減書くのも疲れてきたが、やっと式典も最終局面。
 子供たちの隊列が「明天更美好(明日はさらにすばらしい)」と言う歌を歌い、天/安/門に向かって一斉に駆け出したところで2時間半に渡った式典終了。
お疲れさまでした。


と思ったら、夜は夜でかなり騒いでいたらしい。
 TV見たら天安門をめいっぱいライトアップして、広場では大勢の人々が陽気な愛国歌を歌いまくり延々と踊っていた。昼間の式典のような格式ばったものではなく、もう少しフランクな様子に見えた。夜空にはいつ終わるともしれない勢いで花火が打ち上げられ続けている。
 天/安/門の上では、こきんとうが他の要人たちと談笑しつつ、広場でのいつ終わるとも知れない宴をご満悦としか言いようのない顔で眺めていたのが印象的でした。



追記
 式典当日の深夜12時。TVが数時間後に閲兵式に挑む若い兵士(20歳ぐらいの学員兵)たちの様子をレポートしていたけど、仲間たちと電光掲示板の前でカウントダウンしたり(←君ら寝なくて閲兵は大丈夫か?)、みんなでふざけあってカメラにピースサインしたりと、日本でなんかのお祭り前にはしゃぐ大学生と何ら変わるところがないように見えるのが何となく感慨深い。

*1:本当にそうだったのかもしれないけど

*2:とはちょっと違う。高級車の屋根を一部はずして上半身を外に出せるようにしたもの?

*3:まさしくここで見せられないのが残念なほどの映像美,そのまま絵葉書に使われても何も不思議はないほど印象的

*4:香港のニュースでこう評されていた

*5:「労働模範」というタスキをかけた人が乗っていた