沖縄本の本棚を作りました

 以前も少し書きましたが、ブクログという「ウェブ上に本棚」を作るというサービスを利用して「沖縄本」を集めた本棚を作りました。

http://booklog.jp/users/poppen38(沖縄本の世界)


ブログ右下の本棚パーツからも行けます。



沖縄本の世界


 ブクログというサービスを知って、さっそくこれは面白そうだと登録したのですが、ただ自分の読んだ本を登録していくだけじゃ芸がない。そこで思いついたのが「沖縄に関する本に特化した本棚を作ろう」ということ。
 これも当初は思いついた沖縄関連の本を片っ端から登録していましたが、今ではジャンルごとに一定の体系を持つ棚作りをしています。できれば各ジャンルの本棚の並べ方を見るだけで、沖縄の歴史や各分野の注目点がわかるような、あるいはこれからその分野を学ぶ人のために「こんな本があるんだ」と気づいてもらったり取り組むべき課題がわかるような、そんな本棚を目指したわけです。



沖縄本とは?


 さて、本棚の名前は「沖縄本の世界」としましたが、ではここで言う「沖縄本」とは何か? これは書いてある字の通り、沖縄に関することを扱った全国流通の本および「沖縄県産本」のことです。


 「沖縄県産本」とは、沖縄の出版社で作られ主に県内でのみ流通している書籍のことで、おそらく沖縄を学ぶ上ではずすことのできない書籍群でしょう。出版社で言えば、「ひるぎ社」「ボーダーインク」などが代表的で、確認できるだけで戦後20社前後が存在しています。また、全国的流通しているので「沖縄県産本」というイメージは薄いのですが、「沖縄タイムス社」「琉球新報社」も範疇に加え、および沖縄県や市町村が発行した書籍も必要に応じて登録しています。
 現在(5月17日)で766冊の沖縄本を登録していますが、そのうち沖縄県産本は209冊にのぼっています。沖縄県産本は県外でなかなか目にする機会も無いでしょうから、この本棚でそのディープな世界を積極的に紹介していきたいと思います。
 なお、沖縄県産本は県外では入手が難しく、また必要に応じて絶版されて久しい本も登録されていますが、前者はアマゾンで買うこともできますし、絶版本でも沖縄関連本であればまず沖縄県立図書館にほとんど揃っていると思いますので、お近くの公立図書館を介して取り寄せることができます。



ジャンルと選書基準について


 ジャンルは「文化・芸能」「歴史(琉球王国・近代)」「沖縄戦」「歴史(戦後)」「米軍基地」「小説・映画・漫画等」「思想・評論」「自然」「産業・経済・自治・政治」「ガイド・各地域」「社会問題・その他」の11ジャンルに分かれています。詳しいジャンルとその下での再分化については後述。
 まあ、本棚を構築していて「文化」と「芸能」を一緒くたにしたのは間違いだった、とか、カオス状態になっている「社会問題・その他」の「社会問題」部分は「産業・経済・自治・政治」のところにぶちこんで「辞典・エッセイ・その他」にでもするべきだった、とちょっと後悔していますが、次の本棚大整理の際に調整してみます。


 選書基準ですが、沖縄に関連した本であることは大前提として

  • あまりに専門的な本は置かない
  • なるべく1990年以降に出版された本
  • 値段が5000円以下

というのを基本的な条件にしました。ただ、これはどうしてもそのジャンルの基本書として置く必要があるもしくはものすごくいい本なのでぜひ置きたい、または他に適当な本が無いという場合に関しては上記の原則を適用しません。
 年代については必ずしも最新のものを追わなくても良い「文化・芸能」「小説・映画・漫画等」「思想・評論」は古いのも置きますし、「歴史(戦後)」についてはその時代を知るために当時発行されたものをこそ置く必要がある場合は50年〜90年のも置きます。逆に「経済状況」「環境保護」「社会問題」はなるべく2000年代以降のものを置いていきます。


 また、分野によっては多数の関連書が出ていますが、あまり重複しすぎるのもうっとうしいので、なるべく上の基準に沿うか特にお勧め本を中心に2〜5冊まで選び、選にもれた本は各レヴューページでフォローしています。また、県外で目にする機会が少ないため、沖縄県産本を優先的に登録しています。


 一方『ブクログ』はアマゾンと連携していますので、アマゾンに登録されていない本は置くことができません。特にかつては沖縄県産本と言えばこの出版社というひるぎ社(・・・・・・倒産しほとんどの書籍が絶版)の多くの名著が登録不可になっていました。現在の「沖縄県産本」の雄・ボーダーインク社の本も一部アマゾンに見当たらないものが多いのですが、やっぱりひるぎ社の数々の本が登録できないのはイタイ。
 特に『首里城』とか『琉球政府』とか『金門クラブ』とか『福州琉球館物語』とかはぜひ登録したかったんですけどね。その他にも多くの沖縄県産本が登録できないのですが、これらも登録できる類似本のレヴューページで案内していきたいと思います。


 判断に困ったのが「集団自決」に関する歴史修正主義的な本や沖縄戦を美化する本,米軍基地の押し付けを肯定するかのような本や明らかな政治的悪意によって沖縄を侮蔑・中傷する本の扱いをどうするかという点です。あくまで参考用ということで登録しておくのも筋と言えば筋なのかもしれませんが・・・・・・しかし、本棚に登録するにはやはり一定以上のレベルに達している本にしたいですし、そういう点でも歴史修正主義本や中傷本のその水準に達していないものがほとんどであるため、特に代表的で物議を醸した本のみを登録対象としました。
 なお、上記のことも含めて登録されている本すべてを私が必ずしも支持しているわけではないこともご理解ください。あくまで一定の水準に達し、歴史的にも意義のある本を網羅的に集めているわけですから。



本棚の見方


 ブクログの基本設定は新しく登録した本が前にくるようになっていますが、体系的かつ一定の流れがある本棚を構築するため、新しく登録した本が後ろに来るように設定しています。


 そうしておいて1番前に来る棚(このブログのブログパーツとしても表示されている)には全11ジャンルの中で最もお勧めまたは基本となる本を並べました。「米軍基地」5冊、「文化・芸能」2冊,「歴史(琉球王国・近代)」2冊,「沖縄戦」3冊,「歴史(戦後)」2冊,「小説・映画・漫画等」3冊,「思想」3冊,「自然」「産業・経済・自治・政治」「ガイド・各地域」「社会問題・その他」各1冊ずつとなっています。
 そして各ジャンルの棚においては、1つ目の本棚の1番上にそのジャンルにおける最もお勧め本または基本書を並べました。2段目以降は細分化されたテーマに関する本を一定の流れに沿って並べています。
 例えば「歴史(琉球王国・近代)」の場合、お勧め5冊→王国以前→琉球王国全体史→琉球処分→対外関係→人物(琉球王国)→近代→人物(近代)、といった具合に。


 さて、この本棚作りは去年の8月くらいから延々と続けてきて、私も今まで知らなかった沖縄本の引いては沖縄のディープな世界に触れることができました。
 実を言うと、私は個人的な事情で去年の大半を沖縄以外で過ごし、現在もまだ沖縄に戻っていません。私がこういう本棚作りにいそしんだのも沖縄から離れて暮らす心の空白を埋める行為であったような気がしなくもありません。
 一方、沖縄から離れているのにこのような本棚を作るのは大変でもありました。沖縄にいればどのような本があるのか県立図書館やジュンク堂古書店で容易に確認できたのでしょうが・・・・・・。とりあえず沖縄県立図書館のHPでキーワード検索したり、沖縄県産本の出版社HPをチェックしたり、沖縄関連本を紹介する個人サイトを巡ったりして情報収集を重ねてきましたが、それでもけっこう漏れている重要本があると思います。
 また、本棚を見ればわかると思いますがほとんどの本が「未読」状態です。それでも過去にチラ読みした本も多いですし、ネットでの評判なども調べて登録していきました。本格的なレヴューは沖縄に戻ってからやりたいと思います。


 本棚を構築しているうちに新しい良書が刊行されたり、重要な本の見落としに気づいたりもして修正できる分は修正しましたが、すでに今から入れ直すと本棚自体がごちゃごちゃになってしまう段階まで棚作りが終わっているジャンルについては手をつけるのはやめました。私が飽きていなければジャンル構成も含めて毎年本棚の大掃除をしますので、そのたびに全面的に構築し直します。


 それではこの本棚がみなさんの沖縄理解の役に立てば幸いです。