『シマ豆腐紀行 遥かなる<おきなわ豆腐>ロード』


 気がつけば、自分はけっこう沖縄関連本や沖縄県産本*1を読んでいるので、他との読書ブログ(・・・このブログは読書ブログだったのか?)と差異化するためにも、「沖縄県産本&沖縄関連本」を紹介するカテゴリを作ってみようかと思います。
 ・・・・・・いや、その前に書きかけの記事を放置しておいて*2新しい企画*3を立てるのはやめろよ、と自分で自分にツッコミ入れたいですが、そういうことをやっているから月に2,3本しか記事があがらないのだ、という面もありますし・・・・・・ブログの更新回数を稼ぐために、なるべくすぐに書けるのを中心に、簡単に書いていこうと思います。
 なお必ずしも「すごくおもしろい」という本ばかりではありません。読み終わった本を手あたり次第書いていきます。逆に「すごくおもしろい」本は、書きたいこともいろいろあるので、かえってなかなか記事にはならないかもしれないです(汗)


 今回は

シマ豆腐紀行―遥かなる〈おきなわ豆腐〉ロード

シマ豆腐紀行―遥かなる〈おきなわ豆腐〉ロード


 シマ豆腐とは、沖縄の特徴ある豆腐のこと。
 例えば典型的な日本豆腐が「脆い、冷たい、無味(に近い)」だとしたらシマ豆腐は「カタサン(固い)、アチコーコー(熱い)、アジクーター(味が濃い)」という豆腐。

 まあ、「固い」と言っても角に頭をぶつけて死ねるほどは固くないのだが、それでも日本の木綿豆腐と比べたら相当しっかりした造りで、弾力があることは間違いない。なのでチャンプルーにも適している。
 またアチコーコーと言えば、本土に復帰する際にこの点が問題になったという。すなわち日本の食品関係の法律では、「豆腐」は冷たくなければならない。あわや、シマ豆腐は「豆腐」を名乗ることが危うくなったが、そこは何とか押し通し「豆腐」の名を守り通した(そば粉を使わない「沖縄そば」にも似たような問題が起きたが、こちらも名称死守)
 それにアジクーターであるので、チャンプルーに混ぜるとなかなか全体がいい塩梅な味付けになってくる。


 この本は確か地元新聞紙の文化欄に連載されていたものをまとめた本だと思うが、どのページをめくってもひたすら豆腐とうふトーフである(もちろんシマ豆腐)。文章は基本日本語なのだが、随所に沖縄語が混ぜ込まれている(注にて日本語訳はされている)。まあ、どちらかというとヤマトウチナーグチ(純粋な沖縄語ではなく、日本語教育によって変化した沖縄語)ではないかと思うが。
 しかもすごいのが沖縄の「シマ豆腐」を語るのに南米から話が始まる。


 ブラジル、ペルーなどは戦前多くの沖縄県民が移民として渡った地。実際には棄民政策も同然の処置で当地ではさまざまな苦労を重ねたが、今ではそれなりに落ち着き沖縄人コミュニティーも各地で出来上がっている。かえって戦前戦後の同化教育を受けた人々より、南米の沖縄人コミュニティーの方が昔ながら沖縄文化や沖縄語を保持しているという話も聞いたことがある。
 そして南米の沖縄人の手で「シマ豆腐」が作られ、ブラジルやペルーで売られているのだが、本書では第1章でその様子を取材。「シマ豆腐」だけでなく、南米移民の過去や今の生活を伝える。


 そして第2章でやっと沖縄に帰ってきて、那覇の街の豆腐売り文化や豆腐を巡る沖縄の民俗(結婚とか)などを伝える。ある地域では、結婚のお祝いに訪れた時の挨拶として「豆腐しか持ってこられなかった」(=喜びのあまり豆腐意外は取るものもとりあえず駆けつけた)とか言うそうだ。
 第3章では、シマ豆腐のルーツを探して中国・韓国・東南アジア・奄美を中心とした日本の豆腐文化を取材し紹介。
 第4章では、著者のシマ豆腐への愛や上記の復帰に伴う名称騒動などが語られる。


 扱っている題材は非常に興味深く、食欲・・・・・・もとい知識欲を刺激してくれる。・・・・・・ただ、大変残念なことに、なんとなぁ〜く読みにくいのだ、この本。
 もちろん文章がヘタなのではない(うまいとも言えないが)。日本語と沖縄語がチャンプルーになっているせいでもないだろう。ただ、本当に「なんとなく読みにくい文章」というのは存在するもので、本書の文がそうだった、としか言えない。

 そこが残念だが、扱っている題材は(しかも南米のシマ豆腐文化なんて専門に取材したのこの本だけじゃなかろうか?)やはりおもしろいと思うのだ。



※このエントリーを書いた際、本が手元になく記憶で書いていますので、正確ではない箇所もあるかもしれません。
 

*1:主に沖縄県内のみで出版流通している書籍。本格的に揃えば図書館・本屋の本棚をいくつも占拠してしまうほど大量にある

*2:『沖縄映画論』の続きも今書いていますが、いつになるか・・・(汗)

*3:シートン動物記』特集もやりたいなぁ、とか